NTPレポート
NTP(米国毒性プログラム)報告書が 2024 年 8 月に発表されました。
https://ntp.niehs.nih.gov/publications/monographs/mgraph08
これによると、フッ素と IQ の関係の研究は 72 あり、そのうち質の高い 19 の研究では、一つを除いた 18 が、フッ素が IQ を低下させているとあります。また、小児を対象とした 53 の研究のうち 46 では、フッ素が IQ を低下させているとあります。国がこれほど決定的にフッ素が IQ を低下させていると認めたのは画期的です。
フッ素裁判(原告がポールコネット代表 FAN、被告が環境保護庁 EPA)にも影響を及ぼしたのか、フッ素裁判は原告が勝利しました。
フッ素裁判勝利
Fluoride Action Network(ポールコネット代表)が提訴していたフッ素裁判は、原告勝利となりました。
4年間引き延ばされていたフッ素裁判は、2024年9月24日、サンフランシスコのカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所で判決が出ました。55のフッ素と脳神経の研究のうち、52でフッ素の増加によってIQが低下し、また、そのうち最も質の高い19のうち、18でIQの低下が見られたことが根拠となり、水道フッ素添加は不適切との判決がでました。
フッ素洗口の効果検証その1:フッ素洗口実施率が高くてもDMF減少率は多くない
フッ素研究42号26ページの記事にある「フッ素洗口の実施率が高くてもDMFの減少割合(2006年→2017年での減少)が高いとは言えない」と、ありますが、グラフにするとわかりやすいのでドット
プロットしてみました。フッ素洗口で虫歯が減るなら右肩上がりになるはずですが、逆に右肩下がり
なので、むしろフッ素洗口は逆効果と考えられます。
図 1

なお、フッ素研究の記事のフッ素洗口実施率は2018年の小中学生のものですが、より正しくフッ素の効果を見定めることができるよう
2006年と2016年の平均値(小学生のみ)を採用しています。(2006年と2017年のデータの平均値を用いたいところですが、2017年の
統計がないので、2016年のを採用しましたが、2018年のデータを使っても、ほぼ同じ結果になります)また、実施率は施設ベースだっ
たのを人数ベースにしています。2006年は統計のない都道府県があるため、統計のある22府県のみプロットしました。(DMFは12歳)
ちなみに、単年度のDMFではなく、数年間でのDMFの減少率が重要だと、秋庭賢司がフッ素研究26号(2007)で述べています。
フッ素洗口の効果検証その2:フッ素洗口実施率が高くても虫歯保有者率は低くならない。
都道府県別の洗口実施率と12歳の虫歯保有者率の相関関係はほとんどありません。わずかに洗口実施率が高いと虫歯保有率が低くなりますが、ごくわずかで、統計学的には相関関係はありません。
データは学校保健統計調査より
図2

次のグラフは17歳のデータです。フッ素の影響で12歳で虫歯の状況に差があっても、その後数年で差がなくなる、あるいは逆転するという研究があるため、17歳で虫歯の状況を調べてみました。都道府県別17歳DMFの統計はないので17歳の虫歯保有者率を調べたのが次のグラフです。
回帰直線は完全に水平で、全く相関関係ありません。フッ素は全く効果がないのです。
図3
フッ素の効果が出るまで(実際は出ないが)のタイムラグを考慮し、フッ素洗口実施割合のデータは2018年
(保有者率は2022年)のものを採用しましたが、どちらも2018年の統計で作成しても同じ結果でした。
統計学的には相関関係はないものの12歳ではわずかに洗口実施率が高い方が虫歯保有者が少ないが、17歳では全く差がなくなるのはフッ素応用をしているからと安心して歯磨きがおろそかになったり、おやつの食べ方などに注意がいかないというフッ素応用のデメリットが出た可能性が考えられます。
フッ素洗口をしても長期的には効果がなくなる、あるいは逆転するという報告が、過去に何例かありましたが、それを裏付けていると思います。
逆転例1:「新潟県内のフッ素化物応用におけるう歯数の変化」成田憲一、フッ素研究No.3 137. 1982. https://plaza.umin.ac.jp/~JSFR/ya.hp.15.html
逆転例2:「フッ素洗口の諸問題と養護教諭の職務」飯田孝子、フッ素研究23号(2004)
差がなくなる例:「フッ素洗口経験の有無で虫歯保有者率、およびむし歯の本数は差がない」フッ素問題ジャーナルNo.1.4.2016.
https://www.fluoridejapan.org/_files/ugd/8c66a7_ee1723e7e1994a7997a8ef31831e3f4e.pdf

飲料水フッ素濃度が高いと子どもの骨折が増える
Community Water Fluoridation and Rate of Pediatric Fractures
Lindsay, Sarah E. MD; JAAOS: Global Research and Reviews 7(10):e22.00221, October 2023.
アメリカの整形外科学会誌でLinsayらが発表した研究によると、アメリカで、水道フッ素濃度が低い州(平均0.4ppm)に比べ、フッ素濃度が高い州(平均0.7ppm)では、子どもの腕や大腿骨の骨折が2.5倍も多いということです。凄い差に驚愕です。従来のフッ素で骨折が多くなるという研究は、高齢者のものが多かったですが、若年者でも骨折しやすくなるという画期的な研究です。
なお、2001年にメキシコから、歯フッ素症(斑状歯)が重度になるほど大人も子どもも骨折が多いという報告はありました。

写真とグラフは

フロスの使用で血中有機フッ素濃度上昇
デンタルフロスの一部に有機フッ素が使用されている製品があり、2019年1月にはメディカルトリビューンで紹介され、さらに同年6月11日には日本歯科新聞でも報じられました。(歯科新聞の記事はフッ素研究誌38号2019年の78ページで読めます)
これは「Serum concentrations of PFASs and exposure-related behaviors in African American and non-Hispanic white women」というタイトルで、Katherine E Boronow氏が発表したものです。J Expo Sci Environ Epidemiol. 2019 Mar;29(2):206-217.
それによると、カリフォルニア州オークランドで1959~1967年に登録された妊婦から生まれた178人の女性を対象に2014年に血液サンプルを採取したところ、PFOSの中央値は 4.74 ng/mL PFOA の中央値は 1.80 ng/mLでした。デンタルフロスの使用に関しては、18 製品中 6 製品で有機フッ素が検出され、有機フッ素が含有されているデンタルフロスを使用している人は、そうでない人と比較して血中有機フッ素濃度が24.9%(95%CI 0.2~55.7%)高かったのです。フロスに含まれる有機フッ素は微量なものの、有機フッ素は微量でも人体に蓄積して健康被害を生じる可能性が高まります。
《有機フッ素が使用されているフロス》
原料表記に「フッ素加工」もしくは「PTFE」と記載されている製品が該当します。PTFEは、ポリテトラフルオロエチレン、つまりテフロンです。テフロン自体は化学的に安定で毒性は低いのですが、同時に有機フッ素のPFASが使用されているということだと思われます。材質がPTFEや「フッ素加工」と記載された以外の製品は大丈夫なのかというと、絶対にPFASが使われていない保証はないと思いますが、おそらくその可能性は低いだろうと思います。
また、「フッ素配合」と書かれた製品もありますが、おそらくそのフッ素は有機フッ素ではなく、虫歯予防として(本当に予防効果があるかどうかは別として)フッ化ナトリウムが添加されているようですが、ごく微量なのでおそらく健康被害が生じるほどのものではないように思います。
以下は楽天市場等で販売されている製品ですが、「PTFE」と記載されています。製品によっては「ポリテトラフルオロエチレン」と記載されています。
なお、上記研究においてデンタルフロス以外に関しては、防汚加工されたカーペットやソファー等を使用していると、有機フッ素が18.7%高かったとのことなので、カーペットや家具を購入する際はご注意下さい。これらはハウスダストとして有機フッ素を吸い込むので、こまめに掃除をしましょう。棚の上のホコリからも有機フッ素が検出されるので、棚・家具・照明器具などもこまめにホコリを取りましょう。
また、フッ素樹脂加工された調理器具(フライパンや焼き肉プレートなど)の使用によって、血中有機フッ素濃度が高くなることはないということでしたが、過熱すると有毒ガスが発生するので注意が必要であるし、製造時における工場等での汚染や、廃棄した後に鉄くずとして処理する際に炉で溶かすとフッ素ガスが発生する問題等を考えると、今後は新たにフッ素樹脂加工された調理器具は購入すべきでないと思われます。

妊娠中のフッ素曝露とヨード摂取量の違いによる子のIQへの影響
Goodman,Nutrients. 2022 Jul16;14(14):2920
動物実験では、母体内フッ化物曝露と低ヨウ素の組み合わせは、どちらか単独よりも子のIQに大きな悪影響を及ぼすことがわかっています。Goodmanの2022年の報告では、母親の尿中ヨウ素濃度と尿中フッ素濃度と子のIQとが関係するか、カナダ6都市の366の母子ペアで調べました。母親の尿中ヨウ素濃度と尿中フッ素濃度と、3歳から4歳のフルスケール知能(FSIQ)の関係は、女子では有意差がないものの、男子では有意でした。 (p = 0.042)
母親が適切なヨウ素を摂取していた場合、尿中フッ素濃度が 0.5 ppm増加すると、男子のIQ が 2.95下がり、母親の尿中ヨウ素濃度が低い場合、尿中フッ素濃度が 0.5 ppm増加すると、男子のIQ が 4.65 ポイント低下しました。
なぜ男女間で違いがあるのか、まだ解明されていませんが、甲状腺がエストロゲンおよびアンドロゲン受容体を刺激していることを考えると、男女間で甲状腺ホルモン不全に対する反応が異なる可能性が考えられるとしています。
妊娠中のフッ素摂取と幼児の神経発達
Contral,Neurotoxicology. 2021 Dec:87:86-93.
メキシコ市の103組の母子を対象に、妊娠中の食事からのフッ化物摂取が幼児の神経発達と関連しているかどうかを調べ、母親の食事によるフッ素総摂取量が 1 日あたり 0.5 mg 増加すると、男児のIQが 3.46 ポイント低下した。
女児は有意差なし。なお、中央値は1日1.01㎎、5-95%タイルは0.73-1.32㎎。
母親の尿中フッ素濃度と子のIQの研究はいくつかあるが、実際のフッ素摂取量とIQの関連のこの研究で、フッ素が神経毒である証拠がより高まったと言えるであろう。
低濃度の飲料水中フッ素でも変形性膝関節症が増える

Xinyue;Environmental Geochemistry and Health 45, 8735–8747 (2023)